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イベント・講演

2024年12月09日

【Corporate Pitch #22】「MaaS車両を活用したモビリティサービスの創出」

●MONET Technologies株式会社 MaaS事業部 青木 佑介氏
●トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先進モビリティシステム開発部 瓦口 翔馬氏

  • #MeetUp

MONETコンソーシアム加盟企業のみなさまの共創を促進する MONET Meet UP Corporate Pitch。
今回は2021年から3年ぶりに、コンソーシアム事務局のMONET Technologiesが登壇させて頂きました。

●MONET Technologiesが目指す社会

冒頭、MONETが目指す社会についての説明から開始されました。
「MONET Technologiesは、“地方を中心とした移動課題の解決”、そして“新たなモビリティサービス創出による地域活性化”という2つのテーマに焦点をあてて推進。
目指す世界に対して、現時点の活動としては「ヒト移動としてのオンデマンドバス」、「コト移動としてのサービスカー」の大きく2つの事業を展開し、将来的には自動運転技術を用いて更に進化させることを目指しています。」

●4つのサービス事例紹介 ①行政MaaS

ここからは、MaaS車両を活用したサービス事例として4つの事例紹介がありました。

「1つ目、“ 市役所 × モビリティ = 行政MaaS ”の紹介となります。
デジタル化、行政サービスへのアクセス性低下、災害対策といったような自治体が抱える課題を解決するモビリティサービスを提供しています。」
「具体的な事例として、“福島県いわき市“の事例をご紹介します。」
「モビリティの機動性を活かした形で、平時であれば行政窓口相談やマイナンバーカードの申請補助、
緊急時であれば災害時の罹災証明書発行や移動式投票所といった形で、住民の環境やニーズに合わせた形での多種多様な行政サービスを展開しています」

●4つのサービス事例紹介 ②医療MaaS ③移動型店舗

続いて2つ目のサービス事例紹介がありました。

「“医療×モビリティ=医療MaaS”ということで、患者そして医師としての課題として、通院への負担、在宅診療への移動負担といったようなそれぞれの立場での課題を解決するサービスとして立ち上げたものとなります。」
「具体的な事例として、“長野県伊那市”の事例をご紹介します。」
「車両にオンライン診療機器を搭載し、看護師さんも同乗する形で、患者さんのご自宅へ向かうサービスとなります。
医師とはオンラインでつながるような形で診察を受けることが出来るモデルで、患者と医師の移動負担を減らすことを可能としています。」

上記2つの事例に加えて、住宅情報紹介サービス店舗の
“出店先の拡大”や“認知度向上”を目的とした「移動型店舗」の事例についても紹介がありました。

●4つのサービス事例紹介 ④入浴MaaS

次にトヨタ自動車の瓦口氏からはモビリティを入浴で活用する事例の紹介がありました。

 1.NUKUMARU(ぬくまる)とは?

 「NUKUMARUはクルマの中で簡単にお風呂が入れるモビリティです。
 提供価値としては、場所の制約を受けず必要とされるシーンでお風呂に入れるという利便性や入浴によるリラクゼーション効果が挙げられます。
 厳密にはお風呂(バスタブ)に入るのではなくミストサウナになりますが、お風呂と同じような感覚で楽しむことができ、入浴効果もこれまでの実証実験で多くの方から高い評価をいただいています。」

「外観はアイコニックなデザインでこの車を知っている地域住人の方は度々手を振ってくれることもあります。
また内装はヒノキをあしら特別感を持った空間に仕立てています。」
「またミストサウナにしたことで、少ない水でも入浴ができる、通常の外部給電(家庭用電源)でも対応できるなどのメリットが生まれています。」

2.開発の背景

「高齢化やこれに伴う介護から生まれる様々な課題に対しどのように対応していくのか、これは日本はもちろん世界でも共通の課題になっています。
このような状況に対し、モビリティを活用し社会に貢献をしていきたいという思いがNUKUMARUを開発したきっかけになります。
また介護の中でも特に入浴というシーンは、介護されるご本人のみならずご家族や介助者の身体・コスト的ご負担も大きいため、シニア層の入浴課題の解決を焦点を当て開発を進めました。」
「また開発を進める際は、介護における困り事を解決するだけではなく、より長い間元気に楽しく生きていくという介護予防の観点も念頭に置きながら、検討を進めていきました。」

3.利用シーン等

「NUKUMARUは、美容・レジャー・介護など様々なシーンで活用できると考えています。
 またこのような日常シーンの利用だけではなく、災害時などでも活用が可能です。」
「介護(介護予防)では、2022年より長野県飯山市様が実証事業として利用開始、現在でも一般介護予防事業として継続利用いただいています。
 またレジャーでは、この夏にMONETとの連携で栃木県那須塩原市のキャンプ場で提供、多くの方に利用いただきました。
 さらに今年1月に発生した能登地震の際には、NUKUMARUを現地にお届けし現地の住民や医療スタッフへ入浴サービスを提供、半年ほど現地で支援をさせていただきました。」

4.提供価値

「NUKUMARUの提供価値には、
 ①たった10分でも温浴効果が得られる『入浴効果』そのもの、②入浴者のみならず介助者も低負担で楽に利用できる『便利さ』、の2つがあると考えています。
 さらに今後はモビリティならではの強みを生かし、どこでも簡単に利用できる『始めやすさ』や他サービスとの『連携のしやすさ』などの面も考慮して、NUKUMARUの可能性をさらに広げていきたいと考えています。」

「今後も入浴を切り口に、よりよいサービス・事業を作りたいと考えています。
 またその際には、このような分野にご関心のパートナーと協力・連携していきたいと思っていますので、ご関心があれば是非お声掛けをお願いします。」

●新規サービスを創出するうえで車両を扱うポイント

4つの事例紹介後に、新規サービスを考えるうえで車両を活用する共通項について説明がありました。
 「下記4点のキーワード・必要性が出た際には、車両を活用する価値が高まっている証拠だと考えてよい」
  ①機動性・②効率化:クルマを扱ううえで一番のメリットであり、移動することで需要に対しての即座にサービスを提供することが可能  
  ③新規性:クルマを活用することで、世の中に存在しない新たなサービスの可能性を広げることが可能
  ④認知向上:クルマはアイコニック(象徴的・特徴的)であるため、プロモーション手段の1つとして有効

●MONET車両ラインナップ

「顧客ニーズやサービス内容に応じて、適したラインナップを用意しています」と説明あり。
「提供形態についても短期レンタル・リース・販売といったものを用意しており、実証から事業化まで幅広くご支援可能なため、気軽にお声がけ頂ければと思います」

講演のさいごには、
「コンソーシアム企業の皆様と一緒に MONET企業理念の“モビリティサービスを通じて、人々の暮らしをもっと豊かに”を実現するために引き続き連携させてください」
という言葉で締め括られました。

今回のMONET Meet Up Corporate Pitchはいかがでしたでしょうか?

今回の講演内容は、実際のユースケースで語って頂いたので、モビリティサービスや車両のイメージが掴みやすい内容であり、また、従来のヒト移動の枠ではなく、サービスそのものを移動させる発想を持つことで、MaaSの可能性を更に広げることができる内容だったと思います。

MONET MeetUPではこれからもMaaS事業に取り組む事業者の方々にとって価値あるプログラムを開催して参りますので、引き続きみなさまのご参加をお待ちしております。

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