導入事例
岩手県奥州市
電子カルテ連携や衛星通信を活用し、中山間地域の医療アクセス向上と現場負担軽減を両立する「奥州市モデル」
- #北海道・東北
- #個宅訪問型診療
- #妊産婦健診
| 自治体名 | 岩手県奥州市 |
|---|---|
| 人口/高齢化率 |
人口約10.5万人/高齢化率約38.4% (令和8年4月末時点) |
| 対象エリア | 衣川地区 |
| 診療領域 | 内科(慢性疾患)、妊産婦健診 |
| 運行モデル | 個宅訪問型診療 |
| 主幹事 | 奥州市 健康こども部 |
医療MaaS導入事例(岩手県奥州市)
車内での電子カルテ入力と衛星通信を活用。診療所に準ずる充実した車内環境を整備
岩手県奥州市の衣川地区は、高齢化と過疎化が進行する中山間地域であり、持続可能な地域医療体制の構築と住民の医療アクセス向上が課題となっていた。特に、通院が困難な高齢患者の移動負担や医師の往診負担が大きいことに加え 、電波の届きにくい山間部や豪雪地帯が多く、オンライン診療を安定的に行うための通信環境の確保が大きな障壁であった。さらに、紙カルテと電子カルテへの二重入力による医療スタッフの業務負担も課題とされていた。
奥州市は、これらの課題を解決すべく対面診療を補完する形として、医療MaaS車両「りんりん号」を用いた運行を令和6年1月に開始した。必要な医療機器と看護師が同乗した車両が住民のもとを訪問し、診療所にいる医師とオンラインで接続して医療サービスを提供する体制を構築している。
運用面では、車内に診療所の電子カルテと直接連携するPC端末を搭載し、紙カルテへの二重入力を不要にしてスタッフの事務負担を大幅に軽減した。また、衛星通信を完備することで通信がつながりにくいエリアでも高精度な映像・音声を維持したオンライン診療を実現したほか、圏外地域での「LINE通話」を活用した緊急連絡体制も整備した。ポータブル・エコーや遠隔聴診器、血液分析装置、AEDなどの充実した車載医療機器を備え、現場のトラブル対応力を高めることで自立運用化を推し進めている。利用者からは「自宅にいながら、あるいは自宅のすぐ近くまで車両が来てくれて安心して受診できる」「冬期でも通信が安定しており、診療所の医師の顔がはっきり見えて安心」といった声が寄せられており、現場の負荷を抑えつつ医療の質と安心感を担保する体制を確立した。
今後は、内科慢性疾患の診療に加え、妊産婦健診(助産師外来)や長寿健診などへの新たな車両活用への検討を進めていく方針である 。分娩施設がない市内における妊産婦の負担軽減に向け、オンラインによる妊産婦健診の実証実験や本格運用に向けた検討を進めるとともに、民間医療機関との車両共同利用など、持続可能な自走化を推進していく。
通院困難な高齢者や医師往診の移動負担に加え、山間部・豪雪地帯における通信不安やカルテ二重入力による業務負荷など、医療アクセスの確保と医療従事者の業務負担軽減が課題となっていた。
電子カルテ連携PCや衛星通信、充実した医療機器を車内に備え、カルテ二重入力の解消と安定したオンライン診療を実現した。現場の事務負荷削減と山間部での質の高い持続可能な医療体制を構築している。
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