導入事例
熊本県山都町
高齢化率50%超・県内1位の山都町が医療連携による無医地区などの受診困難解消から移動投票所までマルチタスク車両を活用する取り組み
- #九州・沖縄
- #集団型診療
| 自治体名 | 熊本県山都町 |
|---|---|
| 人口/高齢化率 |
人口約1.2万人/高齢化率53.4% (令和8年6月末時点) |
| 対象エリア | 町内全域 |
| 診療領域 | 内科(慢性疾患) |
| 運行モデル | 集団型診療、オンライン服薬指導 |
| 他活用用途 | イベントでの救護室、移動投票所、健康相談 |
| 主幹事 | 山都町 健康福祉課・健康づくり係 |
医療MaaS導入事例(熊本県山都町)
県内1位の高齢化率に立ち向かうマルチタスク車両の挑戦―無医地区の受診困難解消から移動投票所までを1台で担う地域基盤の構築
広大な面積に人口が点在する山都町では、医療機関の偏在と複数の無医地区の存在が深刻な課題となっていた。同町では、県内全域の無医地区のうち、約3割にあたる8か所を抱えており、住民の移動負担を軽減し医療体制を確保するため、令和7年2月にマルチタスク車両による医療MaaSが本格導入した。地域の病院や複数の民間診療所、調剤薬局と連携し、慢性疾患を抱える住民を対象とした遠隔診療が展開されている。
本事業では、自治体職員が運行を担うマルチタスク車両が導入され、電波の届きにくい地域でも安定した診療を可能にするため、最新の衛星通信機器が有効活用されている。導入後は順調に運行を重ね、同年6月には先進的な取り組みであるオンライン服薬指導も開始された。同年11月には、遠隔での診療から服薬指導までを一貫して行う体制が構築されている。
また、医療MaaS以外での多目的利用においても活発で、同年7月の国政選挙では移動期日前投票所として2会場に設置し計86名の住民に利用されたほか、同年9月の伝統祭りでは移動救護室として車両を活用するなど、確かな実績を上げている。
今後は、マルチタスク車両と優れた通信環境の特性を生かし、さらなる多角的運用を目指す。具体的には、ミニ健康相談や健康教育の場としての「動く保健室」としての活用や、高齢者の孤立を防ぐ移動型の集いの場、さらには情報格差を解消するための移動型スマートフォン教室としての展開を計画し、住民の生活を支える持続可能な移動型基盤として進化を続ける。
山間部に集落が点在する過疎地域において、医療機関の偏在による受診の難しさは住民の生活を脅かす要因となっていた。
転出による人口減少に加えて、公共交通機関縮小に伴い、自力での通院が困難な高齢者が増加し、受診控えによる病状の悪化や重症化のリスクが懸念されていた。
また、へき地診療所への往診に伴う医師の移動負担も大きく、医療従事者の退職や人材不足も重なり、限られた地域の医療体制を維持することが極めて困難な状況に直面していた。
マルチタスク車両の導入により、これまで医療アクセスが途絶えていた地域への持続的な医療サービスの提供が可能となり、住民の移動に伴う身体的・精神的負担が大幅に軽減された。
車両の優れた多目的性を生かして、遠隔診療だけでなく服薬指導までをその場で受けられる体制が整ったことで、受診控えの防止につながっている。
また、期日前投票所、地域の催事における救護室、健康相談など生活支援の場としても機能しており、医療サービスの枠を超え、住民の暮らしに寄り添う移動型基盤として根付き始めている。
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