導入事例
長崎県五島市
海を渡る移動診療車。研究機関と挑む離島医療の新たな可能性。
- #九州・沖縄
- #個宅訪問型診療
| 自治体名 | 長崎県五島市 |
|---|---|
| 人口/高齢化率 |
人口約3.2万人/高齢化率約43.9% (令和8年5月末時点) |
| 対象エリア | 福江島・奈留島 |
| 診療領域 | 内科(慢性疾患)、栄養指導、自己注射指導 |
| 運行モデル | 個宅訪問型 |
| 主幹事 | 五島市 福祉保健部 |
医療MaaS導入事例(長崎県五島市)
二次離島へ届ける医療。医療MaaSと先進研究が紡ぐ離島の医療格差解消。
五島列島に位置する五島市は、数多くの島々から構成される地理的特性を持ち、主島である福江島のみならず二次離島における医療アクセスの確保が長年の懸念事項でした。路線バスの減便や交通事業者の撤退により地域交通網が縮小し、自力で運転できない高齢者を中心に通院負担が増大していました。特に、二次離島に暮らす住民にとっては長距離の移動や船の乗り継ぎが発生し、患者本人や介助する家族にとって著しい身体的・精神的負担となっていました。また、訪問診療を行う医師にとっても移動に多大な時間を要し、限られた医療資源の中で十分な診療時間を確保することが深刻な壁となっていました。
こうした課題に対し、市は令和5年1月より個宅訪問型の医療MaaS事業を開始しました。医療機関ごとの負担を軽減するため、市では専任看護師を採用し、複数の医療機関が共通して車内で診療補助を担う柔軟な運用体制を構築しました 。車内では市で採用した専任看護師が手厚くサポートし、画面を介して医師と穏やかな対話を行えるため、受診に対する心理的ハードルも解消されています。実際に利用した患者からは「私のために自宅まで来てくれて本当にありがたい」といった感謝の声が寄せられています。さらに、医師にとっても訪問に要する移動時間を外来診療等へ充てることが可能となり、地域全体における医療提供体制の効率化と質の維持を着実に実現しています。
気候によって通信状況が変化しやすい離島特有の課題に対しては、気象の変化に伴う通信途絶を防ぐ衛星通信機器を活用し、途切れのない安定した通信環境を確保しました 。本事業では内科の慢性疾患に対する定期診療にとどまらず、オンライン栄養指導や難病患者向けの自己注射指導も推進しています。また、将来的な精神科領域への応用を見据え、大学等の研究機関と連携し、医師の動作や表情と連動する小型のアバターロボットを車内に設置した遠隔相談の実証実験(協力者による検証)を実施するなど、新たな技術検証にも取り組んでいます。
対象エリアは、当初の福江島から二次離島である奈留島へと順次拡大し、導入初年度に月平均7.6回であった運行回数は令和6年度に月平均27回へと約3.5倍に増加しました 。今後は遠隔服薬指導や医薬品配送との連携、多目的な行政・保健サービスの提供も含めた総合的な生活支援基盤としての活用を目指し、地域に根ざした取り組みを推し進めていく方針です。
二次離島を含む地理的制約や公共交通の縮小により、高齢者の長距離移動や船の乗り継ぎなど、患者や家族の身体的・精神的負担が深刻化していました。
また、訪問診療に伴う移動時間の膨大さが医師の診療時間を圧迫し、持続的な医療提供が困難になっていました。
医療MaaS専任看護師の採用や衛星通信の活用により、二次離島や自宅付近で安心して受けられる個宅訪問型診療を確立しました。
患者の移動負担軽減と受診不安の解消を実現するとともに、医師の移動時間を削減して地域全体の医療提供体制の効率化を達成しています。
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